人の手を介さずに自動走行するAMRロボットは、工場や倉庫などの現場で、業務効率を大きく向上させてくれるシステムとして注目を集めています。しかし、AMRロボットは段差のないフラットな路面での走行を前提としており、段差や傾斜のある現場では導入できない…と、お考えの方もいらっしゃるかも知れません。実は、AMRロボットには工場・倉庫内の段差や傾斜に対応したタイプも存在しています。ぜひ知識を深めておいてください。
工場や倉庫などの現場にAMRロボットを導入して業務効率を高めたいと考えていても、「自社の現場には段差や傾斜が多くて難しいのでは」と導入をためらっている方も少なくありません。しかし、AMRにはさまざまなタイプがあり、中には段差や傾斜に対応できるモデルも存在します。現場の環境に合わせて適切な機種を選べば、導入は十分に可能です。
AMRロボットはもともと、惑星探査機などで使われていた高度なテクノロジーが応用されており、風雨にさらされる屋外環境でも使用できる機種が存在するほど高い耐久性を備えています。中でも段差や傾斜に対応可能なAMRであれば、倉庫や工場を大規模に改修することなく導入が可能です。さらに、現場内での移動距離を削減し、業務効率の向上にも貢献するなど、多くのメリットをもたらします。
ここからは、段差・傾斜対応しているAMR製品を紹介していきたいと思います。2025年3月28日にGoogle検索で「AMRロボット 段差・傾斜対応」と検索し、上位10サイトを調査し、段差や傾斜に対応したAMRをピックアップしましたので、参考にしてみてください。
製造元の花岡車輌は台車やショッピングカート、コンテナドーリーなどの運搬用器具を幅広く手掛けている企業です。そんな同社のAMR「ダンディーオートパイロット」は、「ロッカーボギー機構」という独自の足回りを採用。全部で6輪の車輪を持ち、4輪を一組、2輪をもう一組とし、それぞれの組を独立させてリンクで接続。段差に差し掛かった際は、まず4輪部分の前2輪が段差に乗り上げ、4輪部分の後2輪が段差を蹴り上げるというテコの原理により、段差を乗り越えていきます。
「EffiBOT」は、総合商社大手の丸紅グループに属する丸紅I-DIGIOが扱うAMRであり、製造元はフランスを拠点に10年以上AMRの開発・製造を手掛けているEffidence社です。このAMRは、約40cmの大経タイヤを4輪駆動方式で作動させるというのが特徴。床面の段差や溝などを乗り越えることはもとより、最大傾斜5%のスロープでも登っていけるパワーがあることを強調しています。
「iRAYPLE」は、最先端技術を活用した機器やシステムなどを世界中から発掘し、日本市場に導入しているテクノロジープロバイダ、株式会社リンクスが扱っているAMRです。製品名の「iRAYPLE」は、中国最大級のハイテク企業であるHuaRay Technology社が手掛けているブランド名でもあります。そんな同ブランドのAMRは、高さ10mmの段差、幅20mmの溝、そして斜度3°までの傾斜といった環境で、安定した走行が可能であるとアピール。障害物を検知した際の停止距離は事前設定が可能です。
各種監視カメラやセキュリティシステム、業務効率化システムなどを幅広く取り扱う株式会社セキュリティデザイン。その同社が扱うAMRのひとつが「Aspina AMR」です。このAMRの製造元は、精密小型モーターの開発を得意とするシナノケンシ株式会社。長野県上田市に本社を構える老舗メーカーです。「Aspina AMR」は、小型で小回りの利く設計が特徴で、高さ5mmの段差、幅30mmの溝、斜度3°のスロープにも対応可能な優れた走行性能を備えています。狭い通路や起伏のある現場にも柔軟に対応でき、導入のハードルを大きく下げてくれるAMRとして注目されています。
バーコードやICタグ、音声認識など、さまざまな最新技術を用いたソリューションを提供しているアイニックス株式会社。同社では、各種AMRも取り扱っており、潜込式搬送ロボット(LMR)、コンベア式搬送ロボット(CMR)、フォークリフト型搬送ロボット(FMR)、カートン搬送ロボット(CTU)の4種類をラインアップしています。いずれのAMRも、傾斜に強い走行性能を実現しており、斜度3°でも走行に支障なしとのこと。数値は言及されていませんが、段差の影響を受けにくいことがアピールされています。
業務システムの開発や各種ビジネス支援サービスを展開する株式会社GEクリエイティブ。同社が惣菜や弁当工場向けに特化して開発したAMRが、「YT-350F」と「YL-250F」です。これまで自動搬送が難しいとされてきた冷蔵庫・冷凍庫内への対応については、独自の結露対策を施すことで実現。また、水はけ用のスロープや段差が多く存在する食品工場の環境を想定し、大径タイヤとボギーアーム構造を採用。これにより、傾斜や段差のあるエリアでも安定した走行性能を発揮します。現場の課題に即した設計で、食品製造現場における自動化と効率化を強力にサポートするAMRです。
以上のとおり、AMRによる自動搬送は、平らな床面の現場でなくても可能です。段差や斜面に対応する機種を選べば、現場の改修工事やリフォームなどは必要ありません。ぜひ、自社の現場に適したAMR製品を探してみてください。
現在AMRロボットの導入を検討している方向けに、もう一歩踏み込み、「小回りの利く小型」「精緻なコントロール」「重量級可搬」のかゆいところに手が届くAMRロボットを紹介します。
狭いスペースで
稼働できる小型機1辺60cmのコンパクトサイズで狭い通路(最小通行幅80cm)でも使用可能。コンパクトでも100kgまでの荷物を運べる。
高精度な制御機能で
組立装置とも連携よし2次元コード誘導も併用でき、組立装置などへの部品供給に必要な正確な位置合わせが可能。(停止精度±5mm、停止角度±0.5度)
高い耐荷重能力
最大積載量2500kg高い耐荷重能力と堅牢な設計が求められる最大積載量2トン以上のAMR。