こちらの記事では、人とAMRの混在環境下における安全走行(協働)を解説しています。安全性を確保しながらAMRを導入するためにも、ぜひチェックしていただきたい内容となっています。
国際規格「ISO3691-4」は、無人搬送車やそれらを運行するシステムの安全性に関する要求事項や検証手段について規定している国際規格です。この規格は、倉庫や工場などの産業領域で使用する無人搬送車が対象となっていて、AMRやAGVなどが含まれています。
世界各国から集まったエキスパートによってまとめられた規格であり、速度の制御や安全停止機能、障害物検知機能などAMRの運用において設計者が考慮すべき要求事項が定められています。そのほかにも、ブレーキシステムの制御や速度超過検知、人検出、警告システムなど、さまざまな安全機能について達成すべき安全要求レベルも規定されています。
設備の運用を行う前に危険と考えられる部分や動作を見つけ、それによって発生する可能性がある労働災害の重大さを予想してリスクの大きさを見積もり、そのまま放置しても良いかを判断する手法を「リスクアセスメント」といいます。この結果によって、重大な事故が発生する可能性があるリスク要因から順に安全対策を行っていきます。
労働安全衛生法では、リスクアセスメントと安全対策を努力義務として定めています。さらに現在は施設の設備が多様になるとともにリスクも多様化しているので、AMRの導入にあたってはリスクアセスメントに取り組むことが重要です。
また、以下のページではAMRロボット導入時の安全方策についてさらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
LiDARは照射したレーザーの反射時間を測定し、周囲の障害物までの距離を正確に計算できます。高精度に距離を測定し、人や物体が動いていても検知できるので、AMRが人に接近した場合に減速・停止する機能を実現できます。特に人が多いエリアでは自動的に減速する、危険回避のために停止するなど速度の制御を行うことが大切です。
3Dカメラを用いることで、立体的に空間を捉えられるようになります。障害物を検出するとともに、人と物体をある程度識別できます。このように、AMRは3Dカメラにより取得した情報を使用して障害物を検出・回避できるようになり、衝突や事故を防止できます。ただし、光の条件に弱いので、検知の精度を上げるためにはLiDARと組み合わせるなど冗長設計が必要です。
AMRには、非常停止ボタンや緊急停止を実行するためのボタンを搭載することも必要です。ボタンを押すだけで遠隔から機器や装置を停止させられるよう、赤く大きなボタンとしてロボットや周囲の壁に配置されていますので、停止させなければならない状況が発生した際に、誰でもすぐに操作できるようになっています。
ロボットが近づいてくる時に音を出す、回転灯を点滅させるなどの形で作業員に対してAMRの走行状態を周囲に知らせ、注意を促せるので、事故を防止するな効果は大きいです。安全規格では、「警告は安全機能の代替にはならない」とされていますが、実際に運用する上では警告音によって注意を促すことは大切な要素です。
AMRの運用上では、「人とAMRが共存する区画」と「AMR専用の区画」をはっきりと分けるなど、作業区域を明確化しておくことや、運用ガイドラインの策定や、作業現場にいる従業員に対してAMRの特性や協働時の注意点について知ってもらうための安全教育や訓練の実施によって、運用時の安全性を高めることができます。
また、AMRの稼働状況を監視し、干渉や緊急停止が多発している地点がないか確認し、必要に応じレイアウトの見直しを行うなど状況に合わせた改善も、より良い運用を行う上で継続的に取り組んでください。
AMRの導入によって業務の効率化などさまざまなメリットが期待できますが、安全対策を十分におこなっていくことが重要です。特に人とAMRが混在する環境では、トラブルや事故が発生しないよう対策が必要となりますので、あらかじめどのような取り組みが考えられるのかをチェックしておいてください。
現在AMRロボットの導入を検討している方向けに、もう一歩踏み込み、「小回りの利く小型」「精緻なコントロール」「重量級可搬」のかゆいところに手が届くAMRロボットを紹介します。
狭いスペースで
稼働できる小型機1辺60cmのコンパクトサイズで狭い通路(最小通行幅80cm)でも使用可能。コンパクトでも300kgまでの荷物を運べる。
高精度な制御機能で
組立装置とも連携よし2次元コード誘導も併用でき、組立装置などへの部品供給に必要な正確な位置合わせが可能。(停止精度±5mm、停止角度±0.5度)
高い耐荷重能力
最大積載量2500kg高い耐荷重能力と堅牢な設計が求められる最大積載量2トン以上のAMR。